副業で継続案件や直接契約が増えると、請求書の作成・送付・入金確認・保存を自分で行う場面が増えます。書式を整えるだけでなく、契約内容と一致した金額を期限内に請求し、入金結果まで記録することが重要です。
本記事では、副業初心者が請求書を作るときの基本項目、管理表、送付方法、未入金への対応を実務の流れに沿って解説します。税務やインボイス制度の適用は個別状況で異なるため、最終判断は国税庁の案内や税務署、税理士へ確認してください。

請求書を作る前に契約内容を確認する
請求書は、作業内容と報酬額を一方的に決める書類ではありません。業務委託契約書、発注書、メール、チャットなどで合意した内容をもとに作成します。まず案件名、作業範囲、単価、数量、消費税、源泉徴収、経費精算、締め日、支払日を確認しましょう。
- 報酬は税込か税別か
- 時間単価、件数単価、固定額のどれか
- 交通費や素材費を別途請求できるか
- 検収完了後に請求する契約か
- 請求書の指定書式や提出先があるか
- 請求書番号や案件番号の指定があるか
金額や支払条件が曖昧なまま作成すると、差し戻しや入金遅れにつながります。作業開始前、遅くとも納品前までに確認し、合意内容を保存してください。
一般的な請求書の記載項目
| 項目 | 記載例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 請求書番号 | 202608-001 | 重複しない連番 |
| 発行日 | 2026年8月1日 | 契約の締め日と一致 |
| 宛名 | 株式会社○○ 御中 | 法人名・部署名を確認 |
| 請求者情報 | 氏名、住所、連絡先 | 契約名義と一致 |
| 取引内容 | 記事作成 5本 | 案件名・期間・数量を明確に |
| 金額 | 小計、税額、合計 | 税込・税別と税率を確認 |
| 支払期限 | 2026年8月31日 | 契約書の条件を反映 |
| 振込先 | 金融機関・支店・口座 | 名義と番号を再確認 |
振込手数料をどちらが負担するか、備考欄へ注文番号や納品日を記載するかも取引先のルールに合わせます。個人番号(マイナンバー)や不要な本人確認情報は請求書へ記載せず、必要な情報だけを扱いましょう。
請求書番号の付け方
請求書番号は法律上の必須項目とは限りませんが、取引先からの問い合わせと入金照合をしやすくします。「年月+連番」「取引先コード+連番」など、重複せず並び替えやすい規則を決めます。
- 202608-001:年月と連番
- A001-202608:取引先コードと年月
- PROJECT01-003:案件番号と連番
途中で規則を頻繁に変えると検索しづらくなります。欠番が出ても番号を使い回さず、取消理由を管理表へ記録すると追跡しやすくなります。
作成から保存までの4ステップ
1. 作成
テンプレートを複製し、発行日、請求先、対象期間、数量、単価、税、合計を入力します。前月分をそのまま上書きすると日付や数量が残るため、送付前チェックを必ず行います。
2. 送付
取引先が指定するメール、チャット、請求システムへPDF等で提出します。件名に「請求書」「対象月」「氏名」を入れ、ファイル名は「202608_請求書_取引先名_氏名.pdf」のように統一します。送付日時と送付先を管理表へ記録します。
3. 入金確認
支払期限の翌営業日までに副業用口座を確認し、請求金額と入金額を照合します。振込手数料や源泉徴収によって差額がある場合は、契約と支払明細を確認します。理由が分からないまま「入金済み」にしないことが大切です。
4. 保存
請求書、送付メール、発注書、納品記録、入金明細を案件ごとに関連付けて保存します。国税庁の個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存についてでは、取引に伴って作成した帳簿や、受け取った請求書・領収書などを整理して保存する必要があると案内しています。
請求管理表に入れる項目
| 管理項目 | 目的 |
|---|---|
| 請求書番号 | 書類と入金を紐付ける |
| 取引先・案件名 | 問い合わせ時に特定する |
| 請求日・支払期限 | 送付漏れと遅延を防ぐ |
| 請求額・入金額 | 差額を確認する |
| 入金日 | 売上記録と照合する |
| 状態 | 作成中・送付済・入金済を区別 |
| 保存先 | 証憑をすぐ開けるようにする |
表計算ソフトでも十分ですが、共有端末には保存せず、アクセス制限とバックアップを設定します。口座を生活用と分ける方法は副業用の銀行口座・カードを分ける方法で整理しています。
インボイス制度を確認するとき
国税庁の適格請求書等保存方式(インボイス制度)によると、適格請求書は登録を受けた適格請求書発行事業者のみが交付できます。登録していない事業者が、登録番号を記載した適格請求書として発行することはできません。
登録事業者には、求めに応じた適格請求書等の交付や、交付した適格請求書等の写しの保存などの義務があります。必要な記載事項や登録の要否は、自分の課税状況と取引先との関係で確認してください。「取引先に言われたから」だけで登録を決めず、消費税の納税義務を含めて税務署や税理士へ相談することが大切です。
電子データで送付・受領した場合
メール添付PDFやクラウドサービスなど、電子データで請求書をやり取りした場合は、電子帳簿保存法上の保存要件を確認します。印刷だけで済ませず、元の電子データを検索・確認できる形で保存する必要がある場合があります。保存期間と方法は国税庁の最新案内で確認してください。
未入金・支払遅延への対応
- 支払期限と口座明細を再確認する
- 請求書が届いているか丁寧に確認する
- 契約番号、請求番号、金額、期限を明記して連絡する
- 相手の回答と新しい支払予定日を記録する
- 解決しない場合は契約書に沿って専門窓口へ相談する
最初の連絡では、入金を決めつけて責めるのではなく、請求書の到達や社内処理の状況を確認します。口頭で合意した新しい期限も、メール等で記録に残してください。
失敗しやすい点
前月の請求書を上書きして誤送付する
日付、数量、単価、口座、宛名のチェック欄を作り、PDF化した後にも確認します。テンプレート原本は編集せず、毎回複製します。
請求額と入金額の差を放置する
源泉徴収、振込手数料、値引き、消費税など差額理由を特定し、支払明細や契約と紐付けます。不明な差額は取引先へ問い合わせます。
ファイル名が「請求書_最新.pdf」になる
年月、請求番号、取引先を含む名前にし、同名上書きを避けます。訂正版は「v2」だけでなく、訂正日と理由も管理表へ記録してください。
月末30分で行う請求チェック
月末には、案件一覧と請求管理表を並べ、納品済みなのに請求書を作っていない案件がないか確認します。請求書を送った案件は送付メール、支払期限、入金先口座を確認し、翌月の確認日をカレンダーへ登録します。請求額だけでなく、振込手数料や源泉徴収を反映した想定入金額も記録すると照合が速くなります。
- 納品済み・未請求の案件がないか
- 請求先名義と契約名義が一致しているか
- 請求書番号が重複していないか
- 税込・税別、税率、源泉徴収の確認が済んだか
- 送付済みファイルを開いて内容を再確認したか
- 支払期限と入金確認日を登録したか
- 電子データと関連書類を同じ案件へ紐付けたか
請求書テンプレートを運用するときのルール
テンプレートには固定情報だけを置き、金額、発行日、請求先、案件名は毎回入力します。振込先変更や住所変更があった場合は、原本テンプレートを更新した日を記録します。複数の取引先で指定書式が異なる場合は、取引先名を付けてテンプレートを分け、誤送付を防ぎます。
共有クラウドで管理する場合は、閲覧者と編集者を最小限にし、退職者や契約終了者のアクセス権を残さないようにします。請求書には住所や口座情報が含まれるため、公開リンクや誰でも閲覧できる共有設定は避けてください。
よくある質問
請求書はWordやExcelで作ってもよいですか?
取引先の指定がなければ、必要項目を満たすテンプレートや請求システムを使えます。送付時はレイアウトが崩れにくいPDFが一般的ですが、指定形式を優先してください。
印鑑は必須ですか?
すべての請求書で押印が法律上必須とは限りません。取引先の運用や契約で求められる場合があるため確認します。
請求書を間違えた場合は?
相手へ連絡し、訂正版であることを明記して再発行します。誤ったファイルと訂正版の両方を履歴として保存し、管理表に理由を記録します。
領収書管理とはどう分けますか?
請求書は売上を請求する書類、領収書等は支払や受領の証拠になる書類です。保存フォルダーは分けつつ、案件番号や日付で紐付けます。経費側の整理は副業の経費と領収書管理も参照してください。
副業実務ガイド:請求前後に確認すること
請求書だけを単独で管理せず、経費の証拠書類と入金口座まで同じ流れで整えると、月末の確認漏れを減らせます。次の順番で確認してください。
まとめ
副業の請求書は、契約確認、正確な作成、期限内の送付、入金照合、証拠書類の保存までが一つの業務です。請求書番号と管理表を使い、作成中・送付済み・入金済みを可視化しましょう。税やインボイス制度、電子保存の判断は個別状況で異なるため、国税庁の最新情報と専門窓口を確認してください。
契約条件もあわせて確認
請求書を作成する前段階で、業務範囲、報酬、支払日、修正回数を明確にしておくことが大切です。詳しくは副業の業務委託契約で確認する項目をご覧ください。
請求後の入金状況まで管理する
請求書を送った後は、支払期日、実際の入金額、手数料などの差額を案件ごとに照合します。請求漏れや未収を防ぐ管理表の作り方は、副業の売上・入金管理で解説しています。